桜並木と運河の景勝で知られる、富卵県佃島界隈。魚八島、猫草島など各島で得意の商業を、運河を活用して発展させた観光商業地だ。
だが、地元の猛反対を押し切って、各島の特産物を集めた観光客本位の総合お買物島《惣菜島》が、「花丸食肉店」の出資で建設された。
その夜、魚八島に潜水服姿の雄2匹が猫目を避けるように上陸し、古く重いトランクを老舗「末廣カマボコ店」の倉庫に運び込んだ。
倉庫の中では店主ガンモが、惣菜島反対住猫達を前に、昔は佃島界隈が旧軍の研究施設であったこと、自分が戦時中は軍の秘密研究員だったことを告げ、トランクからガラス瓶を取り出した。
「この中には旧軍が開発した特殊細胞が眠っとる。兵猫を巨大化し不死身にする秘密兵器だニャ。今更海底に捨てた怪物を使うことになるとはニャ」
ガラス瓶の中では、1つの心臓が不気味に鼓動を続けていた。
「んだどもガンモ社長。誰がこれを使って惣菜島をぶっ壊すニャ?」
そう問いかける盟友・魚正のオヤジに向かって、ガンモは運命を受け入れるように頷き、その心臓を一かじりした。
だが、その一部始終は花丸食肉店の秘密工作猫メンチにより報告され、秘密兵器の奪取命令が下った。工作猫にとって奪取とは「食え」と言うことに他ならなかった・・・
翌日、朝市で賑わう惣菜島に突如2匹の大怪猫が上陸! 出動した防衛隊の前には「ガンモ!ガンモ!」と大合唱する地元住猫と、「メンチ命」のハチマキをしたメンチ親衛隊の雌工作猫の双璧が立ちはだかった。
不死身の細胞を手に入れたメンチとガンモの、非情な職業的運命と雄の意地を賭けた戦いが今始まる・・・ |
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