涼風が焼き魚の香りを運ぶ或る秋の朝。1匹の倉庫管理猫が「水揚げされたサンマがコンテナごと無くなった」と交番に飛び込んだ。食欲の秋まっさかり。しかし、いくらなんでもこの盗み方は尋常じゃニャい、と頭を抱えるおまわりニャンなのだった。
最近、全国的に大規模な窃盗事件が頻発していた。その手口は大胆不敵。倉庫やコンテナが一夜でまるごと消えるのだ。
その頃、国立重力波研究所では、グラビティ博士と助手リコも、頭を抱えていた。
「おかしいニャ〜。地殻変動にしては、重力異常地域の範囲が狭すぎるニャ」
全国に張り巡らした観測網の重力データでは、ニャッポン中のさまざまな町の一角、それどころか針の先のような一点で、強力で瞬間的な重力異常が多発していた。
次の夜、研究で遅くなったリコは、保育園で息子チビ丸を回収し、倉庫街を駆け抜けていた。その時、音もなく巨大デブ猫が現れ、一面の倉庫を根こそぎ口に吸い込んだ!
間一髪で難を逃れたリコとチビ丸。
「最近の重力異常、あの怪描のしわざ違いニャいわ。あれは昔じぃさまに聞いたことのある、四次元に胃袋を持つ伝説のイブクロンに違いニャい!」
ついに怪描イブクロンが、その巨体を現した。怪描は凄まじい吸引力で、ビルも電車も船も、そして防衛軍の最新兵器も吸い込んでいく。
『窮猫犬を噛む』の境地に立たされた防衛隊のやさぐれ部隊は、ついに掟破りの究極兵器『サンシュコンゴウ』を持ち出した!
発射まで、あと2時間。博士とリコは怪猫の弱点を突き止め、惨禍を招く究極兵器の発射を止められるか?
肉球防衛軍の理性と統制を問われる戦いが今始まる・・・ |
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