科学が日進月歩の発展を遂げる中、新たな開拓と飽くなき探究に奔走する猫類は、幾多の困難と失敗を乗り越えて惑星・肉球全体に繁栄の波を広げていった。
しかし、その影で自然的および猫意的な事故により多くの猫命が失われていく。それを科学の発展のため、の一言で封じ込めてしまう国際的世情を憂う猫タチがいた。
スコティッシュ王国の漁業産業で巨万の富を築き上げ、今はニャッポンのマヤグスク諸島の1つウヅ島をニャッポン政府より買い受けて暮らしているタウザー卿とその一家だ。
タウザー卿は5匹の息子と共に、豊富な資金をなげうち、孤島に秘密裏に巨大な施設を建設。世界中の科学の粋を結集した航空機、ロケット、宇宙ステーション、潜水艇を擁する強力な救助組織を創設した。
「国際ウヅ救命隊」はどの国家の干渉も受けない永世中立を標榜し、あくまでも自分の判断で「気が向いたもの」を救助するのだ。
赤道上空の静止軌道にある宇宙ステーション「ニャンダーバード5号」では、世界中の電波を傍受し、エジプシャン国大統領とメイド嬢の政府秘密回線を使った内緒話の盛り上がりに固唾を呑む三男ジョニの耳に、別スピーカーから微かなSOSが届いた。途切れがちなその声から判断して《送信者は5才前後のうら若きラグドール嬢》と直感したジョニは、遭難内容はともかく、直ちに救助することを決定した。
ジョニの報告を受け、タウザー卿は移動司令ロケット「1号」大型輸送機「2号」を発信元であるニャッポンの毛玉山樹海へ派遣。さらに国際ウヅ救命隊の秘密を守るため、ニャッポンで活動を行っている雌エージェントペネロッピ嬢を焼津空港へ送り込んだ。
鬱蒼と茂る毛玉山樹海の中でどんな事故が発生したのか?そしてSOSの発信者の正体は?国際的陰謀と自然災害が折り重なる未曾有の救助活動が始まった・・・ |
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