むかし──丹波のとある城下には、民を守る招き猫によって山奥に封印された魔猫の伝説があった。領猫たちは、あくびをして、ノビをして、毛づくろいをするいつもの寝起きの儀式のあとに、気が向けば山の社にカツオブシとマタタビを供え、里の平和を祈るのだった。
そんな猫神祭りの夜、城主・雉三家(きじみけ)で家老・猫又弾正一派による謀反が起こった。嫡男・タビ之介と妹・タマ姫は、父母を三味線屋に売り飛ばされた上に、追われる身となる。
忠臣・猪熊虎象の働きで、2匹が山奥の神域で身を潜めている間、弾正は隣国の雌猫をかき集め、ミルク池マグロ林の贅沢三昧。しかも1日1匹のサンマという重税を課す。悪政の限りを尽す弾正に、民猫の憎悪は増す一方。その横暴は止まるところを知らず、ついにタビ之介虎象は捕らえられ、山に祀られた招き猫の破壊を命ずる。
1匹残されたタマ姫は、必死に招き猫に助けを乞う。その目からこぼれる涙が、招き猫の手に落ちたとき・・・
ついに招き猫は荒ぶる魔猫に姿を変えて、城下に進んでいくのであった。
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